研究・技術
短寿命RI核医薬品開発プロジェクト
全身に転移したがんやT細胞悪性リンパ腫などの血液がんは、手術や放射線照射ではがん細胞を完全に除去できず、有効な抗がん剤が見つからない場合は治療が極めて困難になります。近年、少量でがん細胞に殺傷効果の高い放射性同位体(RI)を抗がん剤として利用する方法が注目されています。アスタチン-211(211At)は半減期が7.2時間と短く、放出する放射線の飛程が数十マイクロメートル(一般的な大きさのヒト細胞の直径数個分に相当)のα線放出核種です。211Atを体内に投与し、がん細胞に集積させることができれば、がん周囲の正常な細胞に大きな影響を与えずがん細胞だけを狙い撃ちにすることができると考えられます。短寿命RI核医薬品開発プロジェクトは、がん細胞に結合する抗体分子に211Atを組み込む手法を確立し、全身に広がるがんを対象とした有効かつ安全な放射性治療薬の開発を目指します。さらに、抗体以外の機能分子や211At以外の短寿命RIにも応用可能な、幅広い核医薬品の創出技術に取り組みます。
本プロジェクトは、ライフサイエンス技術基盤研究センター、仁科加速器研究センター(http://www.nishina.riken.jp)、田中生体機能合成化学研究室(http://www.riken.jp/nori-tanaka-lab/)が、理研の組織横断体制で参加しています。
※2018年4月の組織改編により、当プロジェクトの研究活動は生命機能科学研究センターに引き継がれます。最新の情報は下記よりご覧ください。
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